TANOKAGA! ~たのしい科学~

教科書では語られない科学ネタの紹介・解説を中心とした、学生向けのブログ

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地下鉄車内で缶破裂:洗剤散り乗客14人けが…丸ノ内線|毎日新聞

10月20日に発生した地下鉄車内でのアルミ缶破裂事故。
原因について正式な発表はまだですが、アルミニウムと強アルカリの化学反応によるものである可能性が強まっています。

事故を起こした女性の証言によると、「コーヒーの空き缶(アルミ製)の中に業務用洗剤を入れて、フタで密閉していた」とのこと。

アルミニウムは両性元素で、簡単に言うと酸にもアルカリにも溶ける性質があります。普通、「金属は酸に溶ける」と言いますが、一部の金属はアルカリにも溶けるわけです。
一方で、業務用洗剤の主成分は強アルカリ性の溶液です。水酸化ナトリウムとか水酸化カリウムとか。強アルカリ性の溶液はタンパク質を溶かすので、配水管の汚れ等に効き目があるわけです。

つまり、アルミ缶の中に強アルカリ性溶液を入れると、化学反応を起こしてアルミ缶が溶けていくわけですね。
アルミニウムと水酸化ナトリウムを反応させたときの化学反応式を見てみましょう。

2 Al + 2 NaOH + 6 H2O → 2 Na[Al(OH)4] + 3 H2

Na[Al(OH)4]はテトラヒドロキソアルミン酸ナトリウムという物質です。それと同時に水素が発生することが分かります。
洗剤が入れられたアルミ缶は密閉されていたわけですから、発生した水素は缶の中に充満して内圧を高めます。そして缶の強度がそれに耐えきれなくなった瞬間に破裂した、と考えるのが可能性としては最も高いでしょう。

実際に、アルミニウムと水酸化ナトリウムが反応する様子の動画がありました。



では、強アルカリ性の溶液はどのような容器に保存すればいいのか?
など、続きは以下から。
水酸化ナトリウムをはじめ、強アルカリ性の溶液は、一般的にはプラスチック製のボトルに入れます
液体の試薬を入れる容器としてはガラス製ボトルがよく使われますが、強アルカリはガラスとも反応してしまうので、あまり好ましくありません。ガラス表面がペリペリと剥がれてきてしまいます。(短期間でしたらそんなに問題ないとは思うのですが。)

ところで、事故の原因として、大きなウエイトは占めないとは思うのですが、もう一つの可能性があるみたいです。
埼玉県立高校の山田先生が実際に実験されたみたいです。アルミ缶のコーティング剤についての言及もあり、とても詳しく解説されているので、ぜひご覧になることをおすすめします。



コーヒーの空き缶に残ったコーヒー成分(砂糖)と水酸化ナトリウムが反応しても、同様に気体が発生しているみたいですね。
なるほど~、砂糖については思いつかなかったなぁ。

アルミ缶は入手が容易でとても便利な容器です。しかし、それが逆に「どんな液体でも入れられる」という錯覚を生じさせているのかもしれません。業務用洗剤のほうは容易に入手できるものではないとはいえ、今回の事故は、誰しもが加害者になり得る可能性を提起したものであるように感じました。
製品に表示されているであろう注意書きはしっかりと読まなくてはいけませんね。


2012/10/31追記:
山田先生がテレビに出演して解説されていました。
事故の再現実験もあります! すごい勢いで破裂していますね!
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