TANOKAGA! ~たのしい科学~

教科書では語られない科学ネタの紹介・解説を中心とした、学生向けのブログ

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生の牛肉が原因となった集団食中毒は、生肉が人気商品となる現在の食文化に一石を投じる事件になりそうです。
そもそも、日本国内には「生食用牛肉」と認められたものは存在していないという事実には驚きました。すべて業者の自己判断でやっていたなんて・・・。(まぁ私は生肉は食べたことないんですけどね。)

生食用牛肉出荷ゼロ「加熱用、生で提供」常態化|読売新聞

今回原因となった大腸菌はO-111ですが、食中毒の原因となる大腸菌で最も有名なのは、O-157ではないでしょうか。
では、これら大腸菌の名前にある、"O"とは何なのでしょうか。そもそも大腸菌って生き物は、1種類ではないのでしょうか。複数種類いるなら、どのように分類しているのでしょうか。
今回はこのあたりを解説していきます。大学時代はずっと大腸菌の研究をしてきた私ですが、実はこのブログで大腸菌をネタにするのは初めてなのです。

はりきって書いた解説は以下から。
大腸菌の学名は、Escherichia coli(エシェリキア・コーライ)といって、これで1種類の生物です。
生物学上の分類は、真正細菌(バクテリア)だとか、グラム陰性細菌だとか言われますが、今回の記事に関しては重要ではありません。

そしてO-157などの名前は、大腸菌の「株名」といいます。大腸菌はそれで1種類の生物ですが、更に株名によって細かく分類できるということです。
例えば、イヌという生物は1種類ですが、その中にはチワワやプードルやゴールデンレトリーバーなど、たくさんの犬種がありますよね。同じイヌでも、犬種によって見た目が全然違うので、私たちは「どの犬種か」と、容易に判別することができるわけです。
大腸菌の株とは、この犬種にあたります。ただ、チワワ、のようにわかりやすい名前ではなくて、アルファベットと数字の組み合わせであるというだけです。

さて、大腸菌は顕微鏡でしか見ることができない非常に小さい生物ですが、なんとかして見分ける方法を決めなくてはいけません。
そこで着目されたのが、大腸菌の細胞表面を覆っている、リポ多糖という物質です。リポとは脂肪のことなので、リポ多糖とは脂肪と糖がくっついている物質、という意味です。

ecoli_lps.png
大腸菌の細胞の表層モデル(青い物がリポ多糖)

このリポ多糖には、たくさんの種類があります。ちょっと正確に言うと、「型」がたくさんある、ということです。このリポ多糖の型によって、大腸菌を細かく分類しようということになったのです。

そしてリポ多糖は、O抗原と呼ばれることになりました。詳しい説明は省きますが、抗原とすることで、リポ多糖の型を短時間で見分けることができるようになります。
このO抗原の"O"が、O-157の"O"なのです。

では、それに続く数字は何なのでしょうか。
これはとても単純です。リポ多糖の型の違いによって、番号を振っていっただけなのです。見つかった型の順に番号が割り振られています。

つまり大腸菌O-157とは、「157番目に見つかったリポ多糖の型を持った、大腸菌の株」という意味になります。

ちなみに、大腸菌を分類するための抗原はO抗原が有名ですが、他にもH抗原などがあります。このH抗原で分類することもできます。

さて、ここでひとつ疑問が生じます。食中毒事件で話題になる大腸菌はすべてOなんとかという株名を持っていますから、O抗原、すなわちリポ多糖を持った大腸菌はすべて病原性を持つのでは? ということです。

結論から言うと、O抗原の有無と病原性の有無には全く関連性はありません。そもそもリポ多糖はすべての大腸菌が持っている物ですから、それが無いと大腸菌とは呼べません。
あくまでO抗原は、「大腸菌を見分けるために決められたもの」であるからです。

しかし、株名を知ることでその大腸菌株が毒性を持っているかどうかはすぐにわかります。
すべての生物には遺伝子型(いでんしがた)というものがあります。大腸菌と一口に言っても、株によって、遺伝子型はすべて違うのです。
生物はDNA配列(ゲノム)という設計図を元に作られていますが、株によって、その設計図の細かい箇所がすべて違うのです。その細かい箇所の違いを、遺伝子型で表します。例えば我々ヒトは1種類の生物ですが、人によって血液型が違いますよね? 血液型の違いを、AOやBBやOOといった遺伝子型で表しているのです。
そしてO-157の遺伝子型をデータベースで調べると、毒素を作り出す遺伝子を持っていることがすぐにわかるようになっています。
なぜすぐに分かるのかというと、世界中の研究者が大腸菌の各株のゲノムを調べ上げ、それを公開しているからです。
つまり、株名と、遺伝子型は紐付けされて管理されているということが言えます。

大腸菌の株はたくさんの種類がありますが、最も古くから調べられていて、ゲノムの解読が完了している株は、K-12という株です。大腸菌研究者にとっては、基礎となる大切な株です。

さて、今回の記事はちょっと難しかったかも知れません。私も、もうちょっとわかりやすい解説ができるように精進したいです。
ポイントを以下にまとめました。

  1. 大腸菌には、抗原の型によって株名がつけられている。
  2. 株によって遺伝子型が異なる。
  3. 遺伝子型はゲノム解読によって調べられ、データベース化されている。
  4. 病原性があるかどうかは、遺伝子型を見れば分かる。
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